顧客価値とは

Category: ひとこと

企画をする時に、このような言葉を耳にします。
「顧客価値とは何か」
「お客様第一に考えて」
「ユーザー視点を持て」
「徹底的にユーザー理解を深めろ」
「ターゲットのペルソナ分析をしろ」
というような言葉です。
「企画とはある人が思っている【夢】を、どう叶えるかの【魔法】を考えること」とお話ししましたから、顧客価値、ユーザー視点という言葉を使うのは普通のことだと思うかもしれません。

さて、そこで皆さんの心に問いたいのが、私たちはお客様のことをどれぐらい理解できているのでしょうか。

例えば、次の例はどうでしょう。
【ある製品について、誰でも分かる詳細な説明書を用意する】
これは一見すると「お客様視点で考えいている」ように聞こえます。しかし、そもそも企画や設計をする時点でお客様視点を持っていれば、操作自体が簡単にできたはずなので、説明書などいらなかったかもしれないわけです。視点を変えると、企業の配慮不足をカバーするために、お客様に説明書の熟読という負担していただいているとも言えないではないでしょうか。Apple社のiPhoneは説明書が1枚だけですし、うちの子は3歳のときに何も説明しなくても使い方を理解できたほどです。

これは一例ですが、企業の中で使われる「お客様視点」というマジックワードに、私は疑問を感じます。もちろんそれを体言している企業も多いですが、一方で「お客様第一」とスローガンとして掲げるだけでゲストのことを考えていると思ってしまう企業もあるのではないでしょうか。時には「言い訳用語」や「上司を説得するための慣用句」に聞こえてくるのです。
もし、本当にお客様のことを考える企画者になりたいのであれば、究極のホスピタリティ練習の意味でもあえてこう思うようにしましょう。
「わたし第一」「究極の自己満足をしよう」

究極の自己満足をする、これは自己中になれと言っているのではありません。自分が満足しているものでなければ、ゲストに提供する価値はないのと言っているです。
企画者にとって、一番最初に出会うゲストは誰でしょうか。それは自分自身であり、その企画が世に出る前に最も口を出せるゲストが企画者本人なのです。逆に考えると、ゲストの望むことを一番理解していて、それを叶えようとする人こそが企画者なのです。

ですから、企画を考えるときには、「お客様にとっての価値」「お客様視点では」など、他人事のように主語を「お客様は」とするのでなく、自分事として「わたしは」で考える癖をつけましょう。企画の中の主人公が自分自身といういこと。そうすれば、本当にゲストが望んでいることが見えてきます。
もし、企画の中の主人公が「わたし」であれば、自分が面倒なこと、不愉快なことは徹底的になくすために意見や文句を言うはずですし、できるだけ安く買える方法も考えるでしょう。どう接客されることが最も好感が持てて、何をすれば二度と買いたくなくなるかを一番理解できているはずです。妥協しないはずなのです。
そして、もしもその企画で自分が主人公になれないものではなければ、中途半端なペルソナ(仮想顧客)を設定するよりも主人公になれる人をプロジェクトに入れたり、あなたの夫や妻、親、子供、友達など、明確に知っている人を当てはめて、主人公が「○○さん」「○○ちゃん」と名前で言えるようにしましょう。