・1,2番&二遊間3人制
・正捕手2人せい
・捕手のスタメンDH
・つなぎの4番
千葉ロッテを日本一に導いた
“ボビー・マジック”の真相
あまりにも衝撃的だった幕切れのせいだろう。日本シリーズで阪神に4連勝。しかも、4試合では新記録となる計33得点に、過去最少の4失点の完勝劇。
31年ぶりの日本一に輝いた千葉ロッテに対し、メディアでは“ボビー・マジック”の勝利という言葉が飛び交った。だが、当のバレンタイン監督は首を横に振った。「マジックなど、なかった」。日本野球の常識からすれば、奇策と受け取られかねない采配の数々。しかしメジャー通算15年(1117勝)の監督経験を持つ彼にとっては、必然かつ理想の常套手段だった。
例えばスタメンを固定する(できる)=強力打線という概念を覆した日替わり打順。136試合で120通り以上ものオーダーは、次々と的中した。その理由をロッテOBの山崎裕之氏は、「優秀なアナリストによる緻密で膨大なデータを基に、その日の選手個々のバイオリズムも参考にしているのでは」と分析。従来の打順のイメージにとらわれないバレンタイン監督特有の柔軟な発想が“マリンガン打線”を生んだ。
例えば、投手起用。好投している先発投手に対しても、100球前後をめどに交代を告げる。登板間隔を十分に空ける。監督復帰1年目の昨年は、「もっと投げたい」というジレンマも投手陣の間で生じたという。しかし結果を見れば、故障や疲労で戦列を離れる者はなく、10勝以上の投手を6人も輩出。ローテーションの谷間や裏ローテが存在しない、球界随一の投手王国が構築された。それが、長年の課題であった連敗しないチーム作り、優勝へとつながったのだ。
千葉ロッテの日本一は、マジックではない。選手一人ひとりが最大限に力を発揮できる環境を熟考し、整えた知将。はじめは戸惑いながらも監督の真意を理解し、一球一打に反映させる意識を持ち続けた選手たちとの固い絆の結晶だった。10月8日には二軍も阪神を破り、ファーム日本一になっている。二軍の教育、強化にもぬかりはない。バレンタイン・ロッテの常勝時代への扉は解き放たれている。
(R25 菅原悦子)