『ビア・ボーイ』 吉村喜彦・著
この本は面白かった。1日で一気に読み上げたぐらいだ。
こういうタイプの作品が好きなのだなぁ。
ドラマで例えるなら三谷幸喜作「王様のレストラン」のような。
さて内容はこうだ。
大手第3位のビールメーカーの花形宣伝部に新卒入社した主人公の上杉。
ビールメーカーに入ったのに「酒乱」ときているため、いざこざを起こして、最も営業成績が悪い広島地区の現場まわり担当に左遷されてしまう。
もともと、自分に自信があって、組織内でも言うことを聞かないような男。
成績を上げてすぐに宣伝部に戻ってやると意気込んでいたものの、左遷先に待っていたのは、ダメ上司、嫌味な同僚、社長派vs副社長派の牽制といった絶句するような会社社会。
そこで任されたのは、業績が最低の広島地区でも、さらに一番悪い地方。
あたたかい先輩・柴さんとともに、営業活動へと繰り出す。
夜は、バーやスナック、居酒屋などに行って他社のビールから乗り換えてもらえるような交渉をコツコツしていく、いわゆる「ドブ板営業」をしなければならない。
昼は、その筋の出身の小売卸の社長や、酒屋をまわって挨拶していく。
こんな中で、酒乱が原因での問題を起こしたり、その筋の社長の信頼を強めていったり、営業の面白さがわかって、主人公・上杉が目覚めていき、人のつながりと発想力と気合とで、ビールだけに「ひと泡」ふかすようなことをしていく!
読んだ後は爽快感とちょっとの苦みを感じる…そんなビール小説です。
まあ、くわしくは読んでほしいですが、
「オレが変われば世界も変わる! 世の中、意外とシンプルだ」
この言葉に集約されている気がします。
きっといつか自分の仕事が世の中を変える、というように考えていくこと、それが大きいんじゃないかなぁ。
…「売る」というのは「こっちの思い通りになってほしい」という勝手なベクトルだ…