例えば、山奥にレストランがあって、自分がそのオーナーだったと想像してみます。
ここには、わざわざゲストにとって行きたいだけの理由がなければ集まることはないでしょう。その理由とは、特別に美味しいとか食べてみたい、なんとしても行ってみたいと思えるような価値があることです。綺麗な絶景かもしれませんし、清流の水を使ったメニューなどいろいろあるでしょう。
もしかしたら「その周辺に食事をできる場所が1軒しかない」ということも価値になりえます。
ただ単に「うどんがある」とか、「フランス料理が食べられる」とかは価値ではありません。
私たちが何かを購入するとき「何を買うか」を決めます。
しかし、実際の心は「なぜ買いたいか」という感情がベースにあることを忘れてはなりません。
例えば、空腹を満たしたいということであれば、コンビニで弁当を買っても、山奥のレストランに行っても、もしかしたら自分でマグロの解体ショーをやって食べてもいいんです。そこで「簡単に済ませたい」「思い出を作りたい」「個性的と思われたい」などという感情が影響して、買う候補の選択肢が決定しているのです。なので、なぜ=価値観が大事なのです。
さらに、そのなぜ=価値観が近いことをわかりやすく表現しなければ、伝わることが難しいでしょう。例えば、懇切丁寧に育ててきた無農薬野菜があったとしましょう。そこに、どれだけ苦労したかの説明文が書いてあるよりも、無農薬という3文字の言葉とともに生産者の笑顔の写真一枚があるほうが価値観を伝えることになることでしょう。
ゲストがわざわざその話を聞いてくれればよいですね。しかし、第一印象が3~5秒で決まると言われたり、短時間で自分を売り込む「エレベータピッチ」といわれるプレゼンテーションでは15秒ぐらいで表現するように言われたりするように、実際ゲストが物事を判断するのは10秒前後の印象だと考えられています。ですから、目に触れてから10秒でゲストが「これいいな!」と思っていただけるような価値観が表現できていなければ、ゲストに近いものではないのです。
もし、価値観という言葉が難しいのであれば、もっと単純に考えてみましょう。ディズニーの中では「WOWがあるか」と表現することがあります。ゲストが10秒で驚けるか、10秒でときめく感情を持てるか、琴線に触れられるかということが「WOW」といえます。
ゲストにとって、何かを購入するということは自分自身のストーリーを作ることです。
必要な物を補充する作業ではなく、様々な物から選んで自分らしさを選ぶ行為なのです。だから、どれが価値観に近い商品なのか、自分のストーリーに沿うサービスなのかを考えて選択しているのです。「WOWがあるか」を考えるのあは俯瞰するときに重要な要素なのです。す。