企画者というと、ちょっとぶっ飛んでいる人なイメージがあるかもしれません。
テレビ局で肩からセーターを垂らして着て、逆さ言葉や業界用語を使っているような人を想像しますか。
私もテレビ局でちょっとだけクイズ作家としてお手伝いをした経験がありますがが、そんな人はいませんでしたよ、数名しか。
さて、企画はインスピレーションでする、と思う方もいらっしゃるでしょうが、半分正解ですが半分間違っています。
そのインスピレーションはどこから来るのか考えてみてください。夢で見る映像というのは、実は自分が記憶している情報だけで構成されているように、何かを着想するときには、自分の知識や記憶、体験がベースとなって閃いているのです。
クリエイティブな仕事というと聞こえがいいものです。
しかし、そのベースとなっているのは、
・ゲストがどのようなことを考えているかという感情のデータ
・将来どのような方向に向かっているかという市場や環境のデータ
などで、インスピレーションはデータによって成り立っているということなのです。
クリエイティブな仕事をするほど、データを必要とします。
例えば、1942年に公開された「バンビ」ですが、その製作のために、スタジオの中に用意されたのが本物の鹿。鹿を間近に飼って動きをよく観察したり、実物のデータをもとにデッサンすることからはじめています。他にもバンビに登場する予定となっていたスカンク、ウサギなども飼っていて同様にデッサンをしていきました。そして人間の赤ちゃんもつれてきて、表情のデッサンも行ったそうです。それらの元絵を参考にして、もし人間のように動いたらと想像して擬人化したり、誇張することでキャラクターとして成長させていき、アニメーションにアウトプットすることができたのです。
企画も同じで、インスピレーションとは、このデッサンと同じことです。
・ゲストがどのようなことを考えているかという感情のデータ
・将来どのような方向に向かっているかという市場のデータ
・環境変化のデータ
などのデータをいかに分析して読みとるかによって企画のデッサンが進んでいき、最終的にゲストに利用しただくもの・アウトプットができあがるです。
ただ、勘違いしてほしくないのは、過去のデータで今を判断するのは無意味ということです。
去年の調査データでこうだからこの企画をすべき、というデータの活用はあまりふさわしいものではありません。
なぜならばそのデータは過去のゲストの感情であって、現在ゲストが求めているものとは1年ブランクがあります。ましてや、企画の完成まで1年かかるものであれば、それは2年遅れの企画ということになります。
データで判断すべきことは、現状把握ではなく、「もし~だったら、将来こうなるだろう」という予測なのです。