「トイ・ストーリー」から「WALL・E」まで。ヒット作連発ピクサーの極意
(ロイター/エイガドットコムより)
ある映画会社が、評論家にも観客にも愛されるヒット作を1本作ったとしたら、それは幸運な偶然のおかげかもしれない。さらにそういう作品が2~3本続いたとしても、非常にツイていたからだと言うこともできるだろう。
だがもしピクサー・アニメーション・スタジオのように、9本連続で傑作かつ大ヒット作を生み出していたとしたら? 一体彼らはどうやってそれを成し遂げているのか?
よく言われるのが、ピクサーは脚本に非常に手をかけているということだが、それだけなら他にもそういうスタジオはある。違うのは、彼らが常に自信をもってストーリーを語っているということだ。そしてその自信を裏打ちする要素として、主に次の3点を挙げることができる。
安定性。たとえば最新作「WALL・E/ウォーリー」の監督・脚本を担当したアンドリュー・スタントンは、ピクサーのスタッフとしてすでに20年の実績を持つベテランだ。同社の基礎を培った80年代後半の短編に始まり、「トイ・ストーリー」「バグズ・ライフ」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」といった作品に様々な形で関わり、日々社内の盟友たちと活発なアイデア交換を続けている。
知性。先週、スタントンがニューヨーク・タイムズ紙に語ったというこんな言葉がブロガーたちを憤慨させた。「観客のことなど考えたことはない。マーケティング報告書を持ってこられても、いつも見ないで捨ててしまうよ」。だが、ここでスタントンが言おうとしているのは、「マーケティングに頼った映画作りはしない」ということだ。実際、ピクサーの作品を見ていると、何より作り手がまず自分たちが好きなことをやろうとしているのがよく分かる。つまり自分たちが楽しければ、きっと観客も楽しんでくれるはずだと信じている。彼らは観客の知性を信頼しているのだ。
最新技術。あえて言うまでもない点だが、重要なのは、彼らがその技術をひけらかすための映画を作ろうとしないことだろう。